野生鳥獣救護                

                  2004年10月2日 記

(FAQは随時掲載、最後尾参照)


野鳥救護の法的な側面


いくら法律を読んでも理解できません。
そもそも傷病鳥獣の扱いなんて頭から想定していないのです。考えれば考えるほどアホらしくなってきました。


はじめに

まず、ハングリーハンターさんのパチンコ猟の所を読みましょう。法律というものがどういうものなのかわかると思います。


従来の私の解釈

今まで、「傷病鳥獣の30日までの飼育は許可がいらない、それを超える場合は合理的な理由があれば都道府県から飼育許可をもらえばいい」、と思っていたし、そのように説明していました。
最近、カラスやアブラコウモリを長期保護飼育している人から、許可が下りない、という話を続けて聞きました。
ということで再び自分なりに調べてみました。


関係しそうな法律

野生鳥獣に関する法律もここ、ハングリーハンターさんの、データベースの所にすごくわかりやすく、まとめて掲載されています。

結論から言うと、私が言ってたことはウソです。そういうことはどこにも書いていません。


法律の抜粋

鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律
第九条 学術研究や有害鳥獣駆除としての捕獲
 学術研究の目的、鳥獣による生活環境、農林水産業又は生態系に係る被害の防止の目的、・・・・・・・その他環境省令で定める目的で鳥獣の捕獲等又は鳥類の卵の採取等をしようとする者は、次に掲げる場合にあっては環境大臣の、それ以外の場合にあっては都道府県知事の許可を受けなければならない。

鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律施行規則
(許可を受けなければならない捕獲等の目的)
第5条  法第9条第1項の環境省令で定める目的は、次に掲げる目的とする。
一  鳥獣の保護に係る行政事務の遂行
二  傷病により保護を要する鳥獣の保護

鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律
(飼養の登録)
第十九条 飼養の手続き
 第九条第一項の規定による許可を受けて捕獲をした鳥獣のうち、対象狩猟鳥獣以外の鳥獣を飼養しようとする者は、その者の住所地を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。ただし、第九条第四項に規定する有効期間の末日から起算して三十日を経過する日までの間に飼養するときは、この限りでない。


その解釈?

これらを無理やりつなぎ合わせると、傷病鳥獣は許可があれば捕獲は可能、その捕獲許可の有効期間から30日間は登録なしに飼育可能、それを超えるなら今度は飼養許可をとれ、という解釈を(今現在は)しています。
が、目の前にケガをした鳥がいてそれから捕獲申請するなんて何の意味もないです。また、申請書というものは私の場合、コウモリの学術捕獲で何回も書類を作っていますが、様式の決まった膨大な書類で、傷病鳥といえども様式が変わることはないですし、そんな理由ですぐに捕獲許可を出すなんて考えられません。


有識者からのご意見

いわゆる鳥獣保護法、すなわち、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律は平成14年に大改正されています。その時に傷病鳥獣の扱いがもっとはっきりすると思っていましたが、全くそのことにはふれられていません。私自身、えらそうにこういう活動に参加しながら法的根拠について知らないとは恥ずかしい限りです。

そのことについて鳥獣救護技術MLでご意見を伺うと

・善意の保護についてはもともとあまり考えていない
・明確に規定するのが事務的にむつかしい
・明確に規定すればするほど矛盾も出てくる
・事務手続きの地方への権限委譲が進められ権限の所在が明らかではない

というようなご意見を頂きました。許可を出す側自身もさっぱりわかっていないそうです。


見聞きした地方の現実

大阪府
いろいろいきさつがあり、ケリを上野動物園に搬入することになった際、向こうから鳥獣飼養許可証を付けてくれ、って言われました。
大阪府に問い合わせると傷病鳥では許可証を出したことがないから出せない、といいます。いったん出すと前例になって次から断れないケースが出てくる、ということらしいです。さらに、年に何万円だかの手数料も必要だとか。また、県を越えての野生鳥獣の移動は規定もないので困難である、うちに預けてもらえれば責任を持って放鳥する(ってどういう事???)ってこともそれとなく言われました。いったんは私が飼育ボランティアになって、鳥獣救護ドクターの浦野からボランティアの浦野へ譲渡することにもしましたが上野側はそれでは困る、というような話にもなってすったもんだのあげく、最終的には大阪府知事のはんこ付きの許可証が出ました。

これを読んだ人が府に許可証を要求したら出すんでしょうか?別に内緒にしてくれ、というような話もなかったので公開していますが興味がありますね。ちなみにうちのユリカモメもタヌキも許可は申請していません。

なお、友人の役人さんに聞くと、許可証を発行したけど、かなり特殊な事情で発行されたことはウラではきっちり記録されていて、個人が傷病鳥獣の飼養許可証をとった前例にはならないのではないか?とも言ってました。そういえば、私からもきっちりした申請書は書いていないような気がします。

で、大阪府の一般的な流れは
・市民から鳥獣救護ドクターへ搬入
・治療後、放鳥獣、あるいは長期飼育が必要だったり放せないものについては担当部署へ連絡、そこから飼育ボランティアに飼育を打診、受け入れ先があれば引き取ってもらい、なければ無い旨が連絡される。無い場合の明確な規定はないが雰囲気的に、どうしても飼えなければ整備室が引き取ってくれるそうです。その先は(おそらく)そのまま放鳥獣です。

ボランティアの絶対数が足りないし死ぬまで飼え、行政としてのフォローもない、等かなり無理のある制度ですし、発足直後にキジバト、カラス、タヌキで何度も断られて以来、頼んだこともありません。
反面、私のHPをご覧になった方から、かなり前から登録しているが、飼育依頼が全く来ない、どうなっている?って問い合わせをもらったこともあります。現在、機能しているのかどうかや今までの実績は知りません。救護ドクターに指定するんだったらそれぐらいの情報は欲しいですね。

ちなみに天王寺動物園は救護施設ではありません。公的施設なので市民からの持ち込みがあれば仕方なく引き取っている、というのが現実です。実際は病気の持ち込みの可能性もあり、関わり合いたくないような雰囲気です。

京都府
市立岡崎動物園が救護センターに指定されています。
流れは大阪と同じようなものです。狩猟鳥獣については簡単な書類で引き取り可能、それ以外は「飼養許可証」と「譲受け届出書」を府の担当事務所からもらうそうです。

ここはドバトもスズメもカラスも引き取っているようです。安楽死はしない方針のようです。でも、税金で施設や人、お金を使い飛べないドバトを飼育するというのも少し問題があるように思います。

福島県
福島県鳥獣保護センター
ここここ をごらん下さい。
pdf文書によると狩猟期間中の狩猟鳥獣、コウモリ、ネズミなどはダメって書いてあります。センターの理念や意義はすばらしいのに、こういうところはいかにもお役所仕事。

その他
いわゆる救護センターはあちこちに出来ていますね。それぞれ細かいところを見ているとおもしろいのですが(要するに有害駆除とのかねあい)長くなるので省略します。

神奈川県の1事例
ハシブトガラスを保護されているKさんのお話しです。

(以下 メールからの引用)
最近、県から回答がありまして、やはり「合法的に飼育することはできない」そうです。法律自体が悪意のある狩猟者を対象にしているそうですが、「悪意」「善意」の区別をする手段がないので、たとえ善意で保護したとしても、ダメなのだそうです。
獣医の先生に対しても、許可は出さないそうです。
「死ぬのがわかっていても、野鳥は放っておけ」というのが法律のようです。

また、ボランティア制度もあるけどカラスとドバトは除外しているそうです。
(引用終わり)

やはり有害鳥獣のからみでしょう。カラス嫌いの東京が近いからでしょうか?命に差はあるもんです。


広島県の1例
骨折したアブラコウモリを長期飼育しておられるKさんのお話です。

(以下 メールからの引用)
県のほうへ連絡を入れ(自然保護課)、親切にたてまえの情報と次の言葉を、、
「聞かなかったことにもできますから・・・、でも一応でいいのでその地区で我々が委託して個人的に野生動物の自然復帰を手伝ってくださっている方へなんらかの手立てを伺ってみてください。本来なら私どもはそちらへ持っていっていただけるのが行政の立場としてはベストと考えているので」と、教えていただきました。

その方へ連絡を入れお話しした結果、
「わしがあなたにそのコウモリの保護を委託する、命が終わるまで面倒見てやってね。ただ大っぴらには言わないこと。 なんかあったら証明はしちゃるけどね。」
(引用終わり)

ということだそうです。

その人がどういう資格で委託されているのか、たいへん興味があるけど、何ヶ月も家族同様に世話をしてきたコウモリを、いきなりそういう人に預けられるわけもないし、その人が面倒見られるとも思えません。
”私が認めてやるから内緒でこっそり飼え”、と言われたら、わたしなら切れるなあ。
行政も知らん顔。やっぱり行政側は存在は認めたくないので殺したいらしい。


で、
野鳥飼育の相談を受けた時、悪いことをしているのではないから堂々と飼いましょう、っていつも言ってました。行政から飼育許可を取りましょう、とも言ってきましたが、きっちりした許可が出たケースはないようです。相談して下さった方、ごめんなさい。
これからは行政に一応相談して、許可を出せない理由をしっかり聞いて、「行政に見放された無許可飼育」であると堂々と公表しましょう。

私でよければ、放鳥獣出来ない旨の診断書であればいくらでも書きますが、「診ないで診断書を書く行為」は、当然、獣医療法で禁止されています。それこそ免許剥奪もの。画像や動画なら診断可能かなあ。そもそも私の名前では権威も何もないかも。

権威というと、私のコウモリ捕獲許可は一般種であるため府県に提出しています。書類に推薦書のようなものの添付が必要で、博物館の学芸員にお願いしています。
でも、専門は鳥でコウモリ的には私の方が少しは知識があります。こんな推薦書でも、なければ許可が出ないのです。(しかも書く内容は私の作文。)なんかおかしいなあ。さらに、来年からは館長名で推薦書をもらって欲しいと言われました。権威は大きい方が許可しやすいんだそうです。

なんだか、許可が出ないとなるとかえって自信を持って堂々と野鳥を飼えるような気がしてきました。
どぶろく裁判で、どぶろくを密造していることを公表して検挙を迫り、最終的に有罪にはなったけれども自家醸造の道が少し広がった(と思ってるけど当たってましたっけ?)のと似てます?似てません?

そういえばミネソタ大学の研修で聞いたところによると、アメリカでは野生のもの一切の個人所有は認めていないそうです。すなわち、羽1枚であっても原則的には国のものかな。死体をひらって標本にしたり剥製にすることは御法度らしい。私の語学力なので勘違いがあればごめんなさい。
それはそれで良いような悪いような。



FAQ:よくある質問と答え
個別の質問はきりがないので書くつもりはありませんでしたが、やはり同じ質問が多いので順次ここに掲載することにしました。



2004年10月に来た質問
Q:メボソムシクイを保護しました。どうすればいいでしょうか?

A:さわらずに箱に入れて温め、様子を観察します。翼の状態(片側だけ下げているかどうか)、羽の状態(ふくらませているか否か)、足の状態、外傷の有無などを見ます。
状態が落ち着いているようだったら(元気そうに見えれば)すり餌を細い注射器に入れて用意しておきます。ストレスになるので手に取るのは必要最低限にして、一度手にした時に体重測定や強制給餌、羽や翼、胸筋の検査など、すべての処置を済ませるようにします。
メボソムシクイは非常に良く落ちる鳥のようです。個体数が多いのか、事故に遭いやすいのか。


コウモリの質問
Q:屋根裏にコウモリが住み着いて困っています。

A:コウモリが好きでHPを作っています。追い出す相談をされても困ります。
とはいえ、一般的な話をすると、まずコウモリの種類を確かめて下さい。おそらくアブラコウモリとは思いますが、ヒナコウモリが住み着いた例もありますので注意が必要です。また、アブラコウモリについての知識は、私自身あまり持っていませんので、答えはほとんどが聞きかじりとか、ネットで仕入れた情報程度です。
コウモリは2cmの隙間があれば入るので、すべての穴をふさぐというのは極めて困難でしょう。夕方、日没後すぐに出てくるのでそれを確かめて、出入り口を物理的にふさぐことしか思いつきません。

Q:コウモリの赤ちゃんを保護しました。
A:赤ちゃんとおっしゃるほとんどのケースは親です。4cmあればおそらく親でしょう。その場合、お昼でも温めると飛んでいくケースが多いです。箱に入れてふたを開けておいて様子を見ればいいでしょう。育てるのであればエサはミルワームで良いと思いますが、私自身は親コウモリの飼育経験はありません。
上野動物園でのアブラコウモリ、ヒナコウモリの飼育記録を読んだことがあります。餌付くまではミルワームの強制給餌を何ヶ月も続けていたようです。また、バッタやトンボを与えながら何ヶ月も飼育している方からメールをもらったこともあります。

本当に子供だった場合は人工保育になります。ネコミルクを濃いめに溶いて注射器と先の細いチューブを使って飲ませます。
けっこう育つようです。飼育記録が時々見つかります。
最初はミルクだけ、適当な時期からミルワームも併用しますが、ミルワームは頭をつぶして中身を絞って与えるようにします。
部屋に蚊帳をつって飛行訓練しているHPを見たことがあります。今時、蚊帳って売ってるのかな?キャンプ用品かな?
越冬させるのが難しいらしく、飼育記録を読んでいても秋に死亡しているケースが多く見られました。
冷蔵庫で冬眠させるという話は聞いたことがありますが本当かどうか、その方法は知りません。
もともとアブラコウモリでは寿命は♂で1年、♀で2年といわれているのでしいて冬眠させるより保温(15℃以上)して冬眠させない方がいいのでは?と思っています(が深い根拠はありません)。